離婚時の財産分与で贈与税はかかるのか?
❏ 原則:離婚時の財産分与には贈与税はかからない
離婚後の財産分与でもらった財産について、「贈与税がかかるのでは?」と不安になる方も多いでしょう。しかし、基本的には贈与税はかかりません。
なぜなら、財産分与は単なる贈与ではなく、夫婦の財産関係を清算し、離婚後の生活を保障するためのものとされており、贈与税の対象外となるためです。
❏ 例外:財産が「多すぎる」と贈与税がかかることも
ただし、すべてのケースが非課税というわけではありません。以下のような場合には贈与税が課税される可能性があります。
■ 財産の分与が「多すぎる」と認められた場合
婚姻中に夫婦が協力して築いた財産に対して、明らかに一方に多すぎる分与があると、贈与とみなされ、その「過剰な部分」に贈与税が課税されます。
判断基準は、婚姻期間中の貢献度や生活実態など、さまざまな事情が考慮されます。
❏ こんなケースでは課税される
国税庁の「相続税法基本通達9-8」によると、次のような場合は贈与税の課税対象とされます。
■ 離婚が課税回避の手段と判断されたとき
例えば、夫婦関係の破綻ではなく、贈与税の回避を目的とした離婚だったと判断された場合には、分与された財産すべてに対して贈与税が課されます。
これは、「財産分与は贈与税がかからない」という仕組みを悪用し、意図的に離婚・再婚を繰り返すことで課税を逃れるスキームへの対応措置です。
❏ 土地や建物の分与は「所得税」がかかる?
不動産のように簡単に平等に分けられない財産を分与した場合には、贈与税ではなく所得税の対象となることがあります。
– 分与した側に、譲渡所得税が課税されることがあります。
– 分与された側は、贈与税の対象外として扱われます。
特に、分与時の不動産の評価額が取得時より高い場合、その差額が譲渡所得として課税されます。
また、土地建物だけでなく、以下のような高額な動産も所得税の対象です。
– 美術品、貴金属、高級車、有価証券、ゴルフ会員権など
❏ まとめ:税金面も含めた冷静な判断を
離婚は精神的にも体力的にも大きな負担を伴うイベントです。財産分与に関しても、税金の知識が不十分だと大きな損をしてしまう可能性があります。