【空き家は時代の鏡】“実家”をどうする? 射水発・前田さんが語る空き家のリアルと未来戦略
2025年5月26日、エフエムいみず「相本商店射水店」のスタジオに、行政書士であり空き家対策の専門家でもある前田敏さんと、信託や終活の現場に詳しい野村久美子さんが登場しました。番組のテーマはずばり「空き家」。
少子高齢化と人口減少が進む中、地域の未来を考えるうえで避けては通れないこの問題について、射水の空気を感じながらリアルな声が飛び交いました。
空き家はなぜ生まれるのか? 6つの要因から見えること
番組の冒頭、前田さんは「空き家になる原因は、主に6つ」と語ります。
- 認知症
2. 共有名義
3. 相続
4. 相続放棄
5. 売却困難
6. 実家への愛着
「この6つの問題を事前に予防することが、空き家対策の出発点なんです」と語る前田さん。個人の資産防衛というミクロの視点から始まり、話題はやがて社会全体を俯瞰するマクロの視点へと展開します。
“不動産神話”は崩壊した。空き家処分にお金がかかる時代へ
「もう“不動産=資産”という時代じゃありません」と前田さん。
空き家の解体や売却には持ち出しのお金が必要になる現実。高齢の親から高齢の子への“老々相続”が進む中で、「財産を受け取っても子世代が困る」という構図も見えてきます。
特に最近は「子どもに迷惑をかけたくない」と、相続放棄を選ぶ人も増えているとか。
都市のカタチも変わる。鍵は“集約”と“活用”
野村さんは「コンパクトシティ化への再投資が必要」と語り、福井市や高岡市伏木、三国湊など具体例を交えながら、まちづくりの今とこれからを紹介。
スイスでは旧市街を保存し、駐車場は郊外へ集約。街の機能と居住区を明確に分けているそうです。「これからは空き地も、まちづくりのピースとして再利用されるべき」と力を込めました。
さらに、都市部では隣地を買い足して広々とした敷地を確保できるチャンスも。建築コストを抑え、快適な住まいづくりができるという新しい可能性も浮かび上がりました。
農地回帰の動きも。入善町での実例
「市街化調整区域では、空き家を解体し、農地に戻す動きも出てきています」と語る前田さん。ドローンで田んぼの水管理を行うなど、農業の集約化と省力化が進む中、高岡在住の相続人が入善町の営農組合に農地を譲った事例も紹介されました。
「これは行政ではなく、民間主導の活力が鍵」と断言。「時代に合ったライフスタイルを自ら選んで、楽しく生きていけばいい」と締めくくりました。
「世界ホテル」に見る空き家再生の未来像
具体的な利活用例として登場したのが、東大阪・布施の「世界ホテル」。空き家をリノベーションし、地域の文化と融合させた宿泊施設に生まれ変わらせた先進事例です。なんと、日本にはもう一箇所、高岡市の文苑堂にも同様の施設があるとのこと。
空き家は“問題”ではなく、“素材”になりつつあるのかもしれません。
【後半】相談が急増中!実家と空き家の現場から
番組後半では、空き家に関する実際の相談事例も紹介されました。
– 実家の処分
– 不要資産の整理
– 相続放棄
– 離婚に伴う売却
– 不動産の買い取り希望
– 遺産をめぐるトラブル(争続)
– 将来に備えた価格査定
– 認知症対策を含む相続手続き
「すべては“終活”から始まります」と語る前田さん。これらの課題を先送りせずに、前向きに取り組むための場が、セミナーです。
今後のセミナー情報
📍6月4日(水)第33回よつばグループ全国セミナー in 大分
会場:アイザック小杉文化ホール
第1部:民事信託の基礎(担当:前田/参加費500円)
第2部:生配信セミナー「不動産オーナーのための信託」(講師:松尾陽子/参加費3,500円)
📍6月15日(日)第2回 北日本新聞 スッキリ終活フェア
会場:北日本新聞 創造の森 越中座(富山市)
内容:終活相談ブース&14:00~終活セミナー
「昔実家、今空き家。実家を空き家にしない相続対策」
前田プランニングオフィスもブース出展します。
【お問い合わせ】☎0766-25-5500
おわりに
空き家問題をめぐる議論は、単なる不動産の話ではなく、「これからどう生きるか?」というライフデザインそのもの。
“実家”をどうするかは、“自分のこれから”をどう描くかでもあるのです。
地域に根ざし、課題のど真ん中に立ち続ける前田さんと野村さんの提案は、射水だけでなく、日本中の暮らしにヒントを与えてくれるはずです。